※今回は、インタビュアーの大串によるブログ記事となります。
にて、<経営者と従業員の「フツウ」の違い>についての悩みを吐露した北村社長。
様々な取り組みを行い、チームのカイゼンを促しますが……、
本当に大切なのは、経営者の「心の適応」「リーダーとしての知性」である!
という結論に辿り着きました。
↓↓そのエピソードはこちら↓↓
組織に蔓延するモンスターとの仁義なき戦い!エピソード⑫「心の適応・リーダーとしての知性」
■経営者に必要な「心の適応」とは、
社長が「従業員の物の考え方」を無条件に尊重し受け入れること
■経営者が備えるべき「リーダーとしての知性」とは、
社長が自分の言動を冷静にコントロールし、従業員の主体的な行動を導けること
そこで今回は、経営者の「心の適応」について、より深く検討してみたいと思います。
フツウのギャップが生まれる要因 <マズローの欲求5段階説>
北村社長は、心の適応をしていくにあたって、
まず知らなければいけないのは、<マズローの欲求5段階説>だと言います。
ご存知の方も多いかと思いますが、
こちらはアブラハム・マズローというアメリカの心理学者の主張。
「人間の欲求には階層がある」という考え方を図式化したものです。
図の下から順番に
①生理的欲求
②安全欲求
③社会的欲求
④承認欲求
⑤自己実現欲求
となっており、
①から順番に欲求が現れ➡ある程度満たされると➡上の段階の欲求が現れる
と言われています。
もっとも基本的かつ、最初の欲求は「①生理的欲求」で、
食事や睡眠といった個人の生存に関わるもの。
こちらをある程度満たすことができて初めて、次段階に移行します。
次段階は不安・恐怖のない安心・安全な暮らしを求める欲求、
すなわち「②安全欲求」が生じるようになります。
そして、その次の段階が「③社会的欲求」。
こちらは自分を取り巻く社会=友人や家庭、会社から受け入れられたいという欲求
を指します。
その後に生じるのが「④承認欲求」。
これは「他の人から価値ある人だと思われたい」という欲求で、
「他者から褒められたい」「組織の中ですごい人だと思われたい」といったものです。
これら①〜④は「欠乏欲求」とも言われており、
満たされなければ不満足が生じてしまいます。
そして最後に現れるのが「⑤自己実現の欲求」。
これは、
自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求。
潜在的な自分の可能性、自己啓発行動、創造性の発揮などを含み、
自立・自律した状態になります。
どの段階の欲求を持っているかは、人それぞれに違いがあるもので、
マズローによると、
最後の「⑤自己実現の欲求」に達成できる人は少ないとされています。
ですから、多くの人は、
4番目の「承認欲求」までを(=欠乏欲求までを)抱えながら生きていると言えます。
経営者の欲求は、どんな欲求?
北村社長は、この欲求段階を、経営者に当てはめて考えてみた模様。
企業経営者に「仕事で大切なことを教えてください」と聞くと、
多くの場合、次のような答えが返ってくる傾向にあるそうです。
・お客様の満足
・従業員の幸せ
・社会的な貢献 などなど。
この答えの共通点として、
お客様に満足してもらいたい(承認欲求)
自社のサービスで社会に貢献したい(自己実現欲求)
といったものがあり、
経営者の「承認欲求」は「お客様や社会」に向けられている。と言える、とのことです。
その一方で、
「従業員から『社長のおかげで幸せです。ありがとうございます』と、褒められたいですか?」と聞いても、おそらく多くの経営者はピンとこないはず。
なぜなら、お客様に満足してもらうことが、
結果的に従業員の幸せにつながると、経営者は考えているから。
これらのことから、経営者の方々は、
お客様への承認欲求と、社会に貢献する自己実現欲求を原動力に、
朝から晩まで一生懸命に働いている。
北村社長は、そのように考えているようです。
従業員の欲求は、どんな欲求?
一方で、従業員に同じように「仕事で大切なことは何ですか?」と質問すると、
・協調性・コミュニケーション
・誠実さ・勤勉さ
・仕事のスキルや丁寧さ などなど。
このような答えが返ってくる傾向にあるそうです。
これらの答えは、
「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」から生まれてくるもの。
安心して働ける職場環境で、
会社や上司に認められたいという欲求が仕事の原動力になっており、
承認欲求は「所属する会社」「上司」などに向けられていて、
これが従業員のフツウだと言えるようです。
両者を比較すると、
●経営者のフツウでは、
社外(お客様や社会)に対して欲求が働いており
●従業員のフツウでは、
社内(会社や上司)に対して欲求が働いている。
この「欲求の求める相手」が違うことが、
経営者を悩ますフツウの溝になっている、と北村社長は指摘します。
この背景には、責任感の違いがある?
では、この違いはどこから生まれるのか?
北村社長は、「責任感の違い」からくるものだと考えていると言います。
経営者は
「お客様全員」「従業員全員」、そして「地域や社会」への全責任を負っています。
従業員は、
「担当先のお客様への責任」と「与えられた仕事に対する責任」を負っています。
責任の範疇が違うわけですから、
「欲求の求める相手」に違いが生じてしまうのは仕方のないことだ。
と、北村社長は言います。
しかし……
お客様との距離が近い中小企業にとって、
お客様の顔を見て仕事をしない従業員ばかりになってしまっては大問題です。
経営者と従業員の「フツウの溝」から生じる大きな問題です。
「フツウの溝」から生じる問題の解決は「チームとしての自立」にあり
では、どうすればこの問題は解決できるのか。
北村社長は、
従業員が「チームとして」自立することができれば解決する。
と考えているようです。
全員が経営者とまったく同じ目線で物事を考える必要はないが、
コアとなるメンバーを中心にチームとして主体的に行動し、
経営者と同じような判断や選択ができるようになれれば、
「チームとして」お客様や社会に貢献できるようになる。
ですが、ここで一つ十分に注意しなければいけないことがあります。
経営者がこのようなチームを作ろうとする時、
仕組みやツールだけに頼ってしまうと、うまくいかないとのことです。
大切なのは、経営者の「心の適応」
そこで大切になってくるのが、
経営者の「心の適応」。
従業員の自立を導こうと思ったときに、
「経営者のフツウ」を前提に、仕組みやツールを導入しても、
絶対に上手くいかないと、北村社長は悟ったようです。
北村社長は、自身が「心の適応」をせずに、
仕組みやツールだけを導入して失敗した実例を教えてくれました。
大串(インタビュアー):どんな失敗だったんですか?
北村社長:はい。事務所のトイレの美化活動で失敗しました。
当社のトイレは、従業員とお客様の共用となっていますので、
常日頃キレイにしておきたいと考えていました。
そこで、従業員の行動を促すために、
「トイレ美化チェックリスト」という仕組みをつくりました。
スタッフに、
「お客様に気持ちよく使ってもらうためにこのリストを使って美化に努めましょう」
と、号令をかけたんです。
大串:よく飲食店でも見かけるやつですね。でも、空欄が目立ちますねぇ。
北村社長:はい。そうなんです。それほど汚いわけではないのですが、
お客様に喜んでもらえるレベルの美しさではないですし、
スタッフが主体的に美化の行動ができていない状態でした。
大串:それは困りましたね。
北村社長:はい。
「なんでできないんだ!? 意味が分からない!!」と頭を抱えましたね(笑)。
でも、いくら口酸っぱくスタッフに言っても、ルールを変えてみても……
このチェックリストが埋まることはありませんでした。
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このような失敗談から、
北村社長は、「経営者のフツウ」をいったん置いておいて、
従業員の「フツウ」を前提にアプローチしてみたそうです。
北村社長:トイレのスリッパ置き場に、カエルのメッセージカードを置いてみました。
「スリッパ整頓♪ よくできました!」というメッセージです。
そうすると、このような状態だったトイレのスリッパが、
キレイに整頓されるようになったそうです!!
大串:そんな簡単なことでスタッフの皆さんの行動が変わったんですか?
北村社長: はいそうです。
自分の「フツウ」とか「当たり前」を捨てて、
従業員の「フツウ」を前提に、欲求を満たしてあげるようなアプローチをしたんです。
大串:!?
「従業員のフツウ」を前提にアプローチする?
「従業員のフツウ」を前提にアプローチするとは、どのようなことでしょうか。
北村社長に、先ほどのマズローの欲求段階の話と照らし合わせて説明してもらいました。
北村社長は、
「自立してほしい。だけど、なかなか行動できない」従業員は、
間違いなく「承認欲求以下の欲求」が満たされていないはずだ。
と指摘します。
そして、
これを満たしてあげるようなリーダーとしての行動をすれば良い
と考えたようです。
すなわち、
「下の段階の欲求が満たされると、人間は自然と次の欲求を求める」
というマズローの法則をうまく使うことだと言います。
「承認欲求」が満たされると、
「自己実現欲求」=「自立・自律した状態」へ従業員が勝手に入っていく
ということです。
北村社長は、この法則に気付かず自分のフツウをもとに、
「トイレ美化チェックリスト」という仕組みを使って従業員の行動を促すようにしましたが、失敗。
そこで、「スリッパ整頓♪ よくできました!」というメッセージカードを置きました。
従業員のフツウで重要とされる「承認欲求」を満たすような働きかけに変えたのです。
「褒めること」「感謝すること」で従業員の承認欲求を満たしていくと、
自然と次の段階の「自立・自律の価値観」に従業員は成長していく。
このように北村社長は気づいたようです。
原理は至ってシンプルだけど…当時の北村社長にはできなかった
一見すると簡単、かつシンプルですが……
当時の北村社長にとっては、簡単ではなかったようです。
↓当時の北村社長の様子↓
残念、無念、無力感、すべてがバカバカしくなってしまった瞬間。
北村社長は、お客様のため、スタッフのため、と願い、
スタッフの自立を支援するために様々な取り組みを一生懸命やってきて、
大きな決断や重責に耐えていたそうです。
そして、スタッフがフツウ持っている承認欲求を、
当時の北村社長は「卑しい欲求」と感じていた、とのこと。
ですから、スタッフから「社長は褒めてくれないからついていけない」
と、直球で承認欲求をブツけられて、ノックアウトされた…と言っていました。
北村社長は、最後に次のように話してくれました。
「私だけではなくて経営者にとって、〈従業員の物事の考え方〉を無条件に尊重し、
受け入れること。つまり、『心の適応』はとても難しいと思います。
これまでの努力や実力、成功体験や幸運といったことは、
会社を経営した人にしか分からない価値観を生み出しますからね。
経営者独特の考え方になるのは当たり前だと思います。
ですが、心の適応ができるようになると、
上手に従業員もチームも成長させられるような気がしています。
自分が変わればチームも変わる!
そう信じて、
一歩一歩、心の適応ができるように、
自分を変えていく努力をしていきたいですね。
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今回は、
従業員の「承認欲求」を満たすことで、自然と自立・自律へ向かうように促し、
チームが経営者視点で物事を判断し活動していけるようになる。
というお話を聞きました。
そして、そのために、
従業員の考え方(=従業員のフツウ)を無条件に尊重し受け入れられるかどうか。
という、とても大切だけど難しい経営者の「心の適応」について深堀りしていきました。
次回は、
北村社長が「心の適応」のために実践しているメソッドをご紹介いたします!
-------------- ■■ 関連動画 ■■ -------------
組織に蔓延するモンスターとの仁義なき戦い!エピソード①「北村事務所で何かが変わる!何かが恥まる!」
https://www.youtube.com/watch?v=rnimoKQRve0&t=115s
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